課題4テーマ「エシカル消費を通じた持続的な社会経済システムの構築」:大槻教授グループの研究を報告します。

大槻教授のグループは、課題1-3のテクノロジーが社会へ導入され、フードロスが低減されたときの効果を検証する研究です。

『支払意思額』を計る手法でフードロスの経済効果を検証します。

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フードロスが低減されれば、直接的な経済的効果と消費者の心理的効果が想定されます。

フードロスが低減すると生産者がコストを下げることが出来るので、食品が安く買えるだろうと見込まれます。
一方で、消費者のもつ心理的なものとして、フードロスは環境に良く、地球に良いものを消費しているという意識を持つかもしれません。少々高くてもこれくらいまで払っても良いかな、という効果です。これを「支払意思額」(= WTP Willingness to pay)といいます。

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わたしたちは、消費者へこの支払意思額を計ることを目的とした調査を行います。

フードロスが少ないサプライチェーンに対して、少しお金を払っても良いか、という調査を消費者アンケートの手法でうまく浮き彫りにしていきます。

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コンジョイント分析を行います。

コンジョイント分析とは、例えば、消費者にフードロスが少ない食品を評価してもらい、食品の各要素がどれくらい食品全体の評価に影響を与えているかを明らかにする分析方法で、消費者に対して仮想的な設定し、食品の属性を決めてより良いものを選んでいきます。

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例えば・・・

「日本人・性別・年代・年収」を軸に 1500サンプルの老若男女を対象にしたアンケートを実施します。

  • ①値段は安いけど環境に悪い食品と②値段は高いけど環境に良い食品を選ぶとき、教育を十分に受けた人とそうでない人で差が出るのか、また②の場合、どの程度の価格差まで環境を意識して買うのかを明るみにし、その割合をつかみ、統計的に優位性があるかどうか検証します。
  • また、バナナの糖度・見た目・鮮度などを複雑に組み合わせをしてアンケート調査をします。そうすると、価格vsフードロス、環境に良いことvs 見た目の良さ、フードロス vs 見た目の良さなどの差が浮き彫りになります。
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見えてくる結果

もしかしたら、見た目の良いものをあきらめて環境に良いものを選ぶかもしれません。その逆もしかりです。わたしたちは、これらの全く異なった結果の共通点を着目し、課題に応用したり、新しいアイデアを生み出すことを思考していきます。

フードロス削減はエシカル消費に直結しています。

エシカル消費の側面は、自分に直接見返りがなく短期的ではないですが、一方で、消費者はエシカル行動で社会がどう変わるか、社会へ貢献しよう、という認識を持ち合わせています。私たちの研究はこれらの消費者の認識をあぶりだし、深掘りして、細分化し検証していきます。また、これらの研究成果を若い世代へ伝え、課題解決していく中で、10年後のフードロス削減に向けたありたい社会へ繋がることを目指していきます。