廣瀬教授は、海上輸送のコンテナ内の温度を適切に管理して、品質劣化をモニタリングする技術を開発しています。
品質劣化モニタセンサの開発
消費電力の低い半導体センサを研究開発しています。従来の保有技術では電圧・電流信号を半導体センサチップの外に設けていましたが、わたしたちはチップ内に信号変換素子を設けたフルオンチップの構成の実現を目指しています。品質劣化モニタセンサでは、品質の劣化を簡単な化学反応式でモデル化し、電流・電圧の濃度がある値を超えた段階で品質が劣化したという判断するセンサシステムの検討を進めています。物質の劣化量に相似な関係を集積回路システムに構築していき、流通過程における劣化の進行を計測するセンサを開発しています。
温度センサの開発
流通の過程で空調の故障や貨物の配置場所の温度差などで適切な管理が出来なかった場合、品質の劣化が加速しフードロスが生じてしまいます。わたしたちは、温度管理記録を「見える化」していきます。温度センサの開発では、バイポーラトランジスタを活用し、サブマイクロワットの消費電力で動作するシステムの構築を目指します。輸送や保管の温度をモニタリングしながら遠隔調節し、温度履歴を管理できるシステムを開発します。
これまで、測定器から信号(電流・電圧)を送り回路を動かし、品質劣化をモニタリングする半導体チップを作製しました。21年度はこれらの信号を半導体チップ上で完結できることが理論検討され、シミュレーションにより評価することが出来ました。また、温度センサは、ある条件下では温度の上昇に伴って周波数が上昇し、線形に変化すること、また低消費電力で動作できることを確認することが出来ました。
21年度は機能検証を進めてきましたが、消費電力のさらなる削減が必要になります。22年度はさらに低電力化・最適化していくことを進めていきます。また、回路ブロックの最適化や簡易化でコスト削減も検討していきます。